平成26年 11月定例会 - 12月3日

◆二嶋宣人議員
   

皆様こんにちは。本日最後の質問者となりました自由民主党岡山市議団の二嶋宣人です。

 傍聴席の皆様,お待たせいたしました。本日は大変お忙しい中,この岡山市議会の議場に足をお運びいただきまして,本当にありがとうございます。

 それでは,早速ではございますけれども,通告に従いまして質問に入らせていただきます。

 1,子ども・子育て支援新制度について。

 (1)認定こども園等について。

 来年4月から導入される子ども・子育て支援新制度実施まであと4カ月。保留児童の解消,地域の実情に合った就学前教育・保育サービスの充実を目指し,本市も今準備を急いでいると思われますが,来年度実施に向けてのこれまでの取り組み,進捗状況等についてお尋ねいたします。

 ?市民の方,特に来年度開設する公立認定こども園4園利用者の方に新制度理解のための情報発信の取り組みについてお聞かせください。

 ?1号から3号認定の利用料金,保育料は,以前と比べどのようになりますか。また,軽減措置についてもお聞かせください。

 ?厚労省は,来年度から待機児童についての定義を見直す方針を固めましたが,これに伴い本市の待機児童はどの程度になると見込んでいますか。

 ?保育士不足対策の進捗状況についてお聞かせください。

 (2)放課後児童クラブについて。

 新制度によって受け入れ対象が拡大される放課後児童クラブ。先般,本市ではサービス評価や設備基準といった独自基準を示されたわけですが,その後の受け入れ拡充のための施設整備等の課題対策の進捗状況についてお尋ねいたします。

 ?本市では,2015年度から5年間のサービス需給見通しで,初年度は1,123人がサービスを受けられない可能性があると算出されましたが,この課題対策として余裕教室等による活用整備の具体的な策はどの程度進んでいるのでしょうか。

 ?学童保育施設の面積基準,児童1人当たり1.65平方メートル以上に満たない場合,当分の間努力義務とのことですが,面積基準クリアはどの時期を目途としているのでしょうか。

 ?指導員不足対策,提供サービスや利用負担金など均一でない状況解決のための対策はどの程度具体化してきていますか。

 2,地方中枢拠点都市制度について。

 先日,岡山市等県内市町による地方中枢拠点都市圏構想首長懇談会の初会合が開催されました。国が自治体連携の新たな仕組みとして設けた地方中枢拠点都市制度に対して,国の平成27年度モデル事業指定を目指し,連携策を検討することで一致したとされています。

 国の制度は,人口減社会時代に備え,人口20万人以上の拠点都市と周辺市町村が協約を結び,都市圏のビジョンを策定するものとされていますが,このような仕組みは地方の活性化の観点からこれまでも幾度なく実施されてきました。コンパクトシティー構想もその一つと考えられ,さきの国会で成立した地方創生関連2法も同じ概念ではないかと思っています。首長懇談会でも,地方分権の受け皿,公共施設の共有,鉄道等の交通の利便性向上等の前向きな意見が出た一方で,制度の具体像や利点がはっきりしないとの疑問の声もあったとされています。

 政令市である岡山市が軸となり,他の自治体は岡山市のポテンシャルやリーダーシップに有形無形の期待をされていかれるのだろうと感じますが,今後の展望についてお尋ねいたします。

 ?制度の具体像をわかる範囲で御説明ください。

 ?地方中枢拠点都市圏構想首長懇談会の設置にかかわる背景,経過をお聞かせください。

 ?津山市までの広域圏になると,どのような連携を期待しているのでしょうか。制度の本来的な趣旨との食い違いを懸念していますが,どのようにお考えでしょうか。

 ?本市として,この制度を活用し,どのような連携像を描こうとしているのでしょうか。

 ?地方中枢拠点都市圏構想首長懇談会は,同制度の検討にとどまらず,今後ますます地域連携が必要となる中で,さまざまな政策,施策の検討の場になると思いますが,この点についてはどのように思われますか。

 3,今後の岡山市における介護,健康づくり等の取り組みについて。

 先般,公的な老人ホームに入りたくても入れない待機老人が大都市で増加している新聞報道を拝見しました。20政令市と東京都における65歳以上の高齢者人口のうち,特別養護老人ホーム待機者の占める割合が一番多い都市は岡山市で,3.97%でした。2025年には,政令市と東京都の高齢者人口に占める待機者の割合は,全国の3割に達するとも言われています。

 そこでお尋ねいたします。

 ?特養の増設を控える自治体もある中で,本市としての今後の施設整備の方向性,御所見をお聞かせください。

 ?本市は,地域で安心して介護ができる環境づくり,在宅介護を推進していますが,その課題,そして課題点への対策はどのようにお考えでしょうか。

 ?市内全体の高齢者人口のうち,在宅介護の高齢者の割合を本市は将来的にどの程度にまでできればとお考えでしょうか。

 さて,誰しも皆,寝たきりや介護を必要としない自立した日常生活を送りたいと思っているはずです。そういった中で,岡山市は健康寿命延伸のため,総合特区スマートウエルネスシティへの加入を目指しています。健康寿命延伸には,あらゆる角度からの取り組みが必要と考えられ,民間との連携による市民の健康づくりへの取り組みを加速させている自治体もふえてきています。

 岡山市内では,健康計測機器メーカー・タニタと淳風会が市内に話題のタニタ食堂を開設,人間ドック受診者へのサポート等の業務提携し,また松本市や佐賀市では,大手コンビニ・ローソンとの連携で健康づくりの環境整備に力を入れています。

 そこでお尋ねいたします。

 ?保健福祉局を中心に健康寿命が短いという点についての原因究明の状況についてお聞かせください。

 ?今,国による総合特区スマートウエルネスシティの認定待ちの状況ですが,総合特区としての取り組み以外に来年度以降,市民のインセンティブを高めるための新たな岡山独自の取り組みを何かお考えでしょうか。

 ?特に若い方への健康相談や健康情報発信,特定健診,特定保健指導の受診率アップ等を図るためにも,話題のタニタ食堂,そして人が気軽に立ち寄るコンビニ等の民間活用も効果的と考えますが,御所見をお聞かせください。

 4,平成27年度の組織機構について。

 大森市長は,ESDに関するユネスコ世界会議を終えて,ESDが世界共通の文化となるよう岡山市がリーダーシップを発揮しなければならないことなどを述べておられました。市長就任から1年が経過し,今後さらに大森カラーが政策面等に好影響を与えていくことを期待していますが,ESD国際会議の成功を一つのターニングポイントと捉えたときに,岡山市行政をどのような方向に導くか,人材育成や組織機構はどうするのか,大局的な思いもめぐらされているのではないかと思います。

 その中で,組織機構について,これまで議会への提示が例年2月議会であったことから,実質的に議会の意見を述べる暇がなかったように感じます。来年度の組織機構について,ESD国際会議終了後の体制も含めて,また国の大きな柱となる地方創生,そして市長が記者会見等で述べている健康寿命延伸事業や総合教育会議への対応等について,どのような考えをお持ちなのかお尋ねいたします。

 ?組織の課題をどのように捉えていますか。

 ?前市長の看板であった行政改革推進室や安全・安心ネットワーク推進室は継続するのでしょうか。また,ESDを担当する部署は,専門の組織として配置するのでしょうか。

 ?都道府県等では,地方創生を担当する部署を設置する動きもあると聞きますが,どのように受けとめ,本市はどう対応するのでしょうか。

 ?来年度の組織について,議会にはどの時点で示すのでしょうか。健康寿命延伸事業や総合教育会議を担当する部署を配置するのでしょうか。

 以上をもちまして1回目の質問を終わらせていただきます。

   
○則武宣弘議長
   当局の答弁を求めます。
   
◎大森雅夫市長
   

それでは,二嶋議員の質問にお答えいたします。

 私は,3番目の岡山市における介護,健康づくり等の取り組みについてということで,在宅介護の課題と対策についてをまず述べたいと思います。

 岡山市では,介護が必要になっても住みなれた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けられるよう団塊の世代が75歳になる2025年を目途に,医療や介護,生活支援などが一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指しているところであります。在宅介護の課題について,まず3点挙げたいと思います。

 1つ目でございますが,在宅医療と介護のさらなる連携の推進,2つ目は在宅介護を推進する上で有効とされる24時間対応の介護サービスの整備,3つ目はデイサービスなどの介護サービスの質の向上等々が挙げられると考えております。

 これらの対策について,順次お答えいたしますと,まず第1点目でございます。在宅医療の推進と介護との連携の強化につきましては,これまで多職種による顔の見える関係づくりのための連携会議や訪問診療や看護の人材育成に努めてきたところであり,来年5月から,医療,介護の関係者からの相談に対応するための地域ケア総合推進センターを新たに開設することとしております。

 2点目の24時間対応の介護サービスでございますが,第6期介護保険事業計画で定期巡回・随時対応型訪問介護看護の整備拡充に向けた検討を進めているところであります。

 3点目の介護サービスの質の向上に関しては,在宅介護総合特区の中で量的に充足していると思われるデイサービスについて,質の向上に資する客観的な指標をつくることで事業所を評価し,サービスの質の向上につなげる仕組みづくりを進めていくこととしております。今後とも,こうした取り組みを通じて,住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう,在宅医療・介護を支える基盤である地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に,4番目の組織機構について,?から?までお話し申し上げたいと思います。

 まず,組織の課題でありますが,所信で申し上げましたように,岡山市を取り巻く諸情勢の変化等を踏まえ,よりわかりやすく仕事のしやすい組織を整備したいと考えております。お示しのような新たな具体の課題については,事業を的確に進められるような工夫をしてまいりたいと考えております。

 次に,具体的にお尋ねのありました分野についてお答えいたします。

 まず,ESD世界会議推進局でございますが,この局は世界会議を成功裏に終了させることができ,所期の目的を達成いたしましたが,この世界会議を契機とした市民協働意識の広がりなどの成果を踏まえ,今後も継続するESD活動を初めとするさまざまな市民協働を一層進めるため,ESD世界会議推進局と安全・安心ネットワーク推進室を廃止して,新たに市民協働局を設置したいと考えております。また,行政改革については,その重要性は論をまたないところでありますが,その担当としては,この問題を新総合計画とリンクして考える必要があるため,政策局で所管させたいと考えております。

 次に,地方創生は地方が成長する活力を取り戻し,人口減少を克服するという非常に大きな基本目標を掲げており,市役所全体で取り組むべきものであると考えております。政策の総合調整役である政策局で所管させようと思っております。

 また,健康寿命延伸事業や総合教育会議につきましては,いずれも重要な政策課題として,それぞれ保健福祉局,そして総務局で所管することとしているところでございます。

 なお,局室レベルの機構改革及び任務変更は,今議会での議論も踏まえて成案化し,2月議会へ組織及びその任務に関する条例の改正をお諮りしたいと考えております。

 以上です。

   
◎荒木誠岡山っ子育成局長
   

1の子ども・子育て支援新制度についての項,認定こども園等について4点の御質問です。順次お答えいたします。

 まず,新制度理解のための情報発信の取り組みについてお答えいたします。

 広く市民の皆様への周知のため,本市広報紙「市民のひろば おかやま」の本年4月号に12ページ物の冊子「特集子ども・子育て支援の制度が変わります」を,10月号にはA3判見開きのパンフレット「認定こども園・幼稚園・保育園などの利用手続きについてのお知らせ」をそれぞれ挟み込み全戸配布するとともに,市のホームページにも掲載しました。

 また,4月から5月にかけて,子ども・子育て支援新制度の概要を紹介する市民向け説明会を週末や夜間も含め市内6会場で延べ10回開催するとともに,10月には認定こども園の開設について,町内会での回覧によりお知らせしたところであります。

 議員御指摘の市立認定こども園利用者への情報発信につきましては,これまで在園児童の保護者のほか,入園予定児童の保護者,地元の方々なども含め,子ども・子育て支援新制度の内容,認定こども園での取り組み,改修工事の概要,入園手続の変更などについて,随時説明会の開催などを通じてお知らせしてまいりました。今後とも引き続き国から示される情報などを含め状況に応じてわかりやすい資料の配布や説明機会の設定など,情報提供と周知に努めてまいりたいと考えております。

 次に,利用料金と軽減措置についてです。

 1号から3号の利用料金は,来年2月議会の議決後,正式に決定いたしますが,現行の保育料,幼稚園授業料をもとに保護者の方の負担が大きく変わらないよう配慮してまいります。ただし,従来公立幼稚園授業料は定額でしたが,新制度では保育園と同様に世帯の所得の状況に応じて授業料が異なる応能負担となります。所得状況については,各世帯の市民税額により算定することとしており,世帯により料金が増減することが考えられます。あわせてこれまで所得税額によっていた保育料も,新年度からは市民税額を用いた計算となります。

 また,軽減措置は,入園児童2人目については基準の半額,3人目については無料とするほか,失業等により生活困窮している方やひとり親家庭の方等を対象に減免制度を設けることとしております。

 さらに,公立幼稚園の在園児童については,新年度からの負担がふえないよう配慮してまいりたいと考えております。

 次に,待機児童についてです。

 厚生労働省は,新年度から保育所の待機児童の定義を見直すとの方針を伺っておりますが,現在のところまだその基準は明確にされておりません。本市においては,現行の国の定義による待機児童のカウントはゼロとなっておりますが,入園の申し込みをしていても種々の理由により入園に至っていない児童は,ことし4月時点で955人でした。そのうちには,数カ月先の入園の予約として申し込んでいる方や求職活動をしながら申し込んでいる方などが多数含まれており,そういったケースをどう判断するかによって,新定義の待機児童数は変わってくることも考えられます。

 次に,保育士不足対策についてです。

 本市では,ことし6月から保育士が不足する状況を改善するため,資格を持ちながら現場で働いていない潜在保育士の方の就職を促進するよう保育士・保育所支援センターを立ち上げました。これまでセンターにおいては,ハローワークと連携して求人・求職情報の提供や,面談や電話相談,また保育園の見学会や実習体験等を企画してまいりました。この結果,11月末までに当センターに潜在保育士として登録していただいた方は95人で,市内の保育園に就職された方は20人となっています。

 引き続き,放課後児童クラブについての項,3点の御質問に順次お答えいたします。

 まず,余裕教室等による活用計画についてです。

 余裕教室等の具体的な活用計画につきましては,関係各課で組織しております放課後児童クラブ施設検討会議で協議を行い,さらに小学校に赴き,現状把握を行った上で児童の受け入れのための活用整備を推進しており,また大規模な児童クラブについては,民間賃貸施設の活用も検討しております。今年度につきましては,4小学校の余裕教室等による活用整備を予定しております。

 また,普通教室以外の特別教室につきましても,放課後のみ児童クラブの活動場所として使用することについて,教育委員会と連携して前向きに検討を進めておりますので,速やかに各小学校の現状把握を行った上で対応してまいります。

 次に,面積基準クリアの時期についてです。

 現在,策定を進めている子ども・子育て支援事業計画の中では,今後の利用見込み量とそれに対応するための提供体制の確保及びその実施時期について盛り込むこととなっております。施設整備につきましては,年次計画を立て,今後5年程度をかけて平成31年度を目標として進めてまいります。

 この項最後の御質問です。指導員不足対策,提供サービスや利用負担金など均一でない状況解決のための対策についてです。

 指導員の確保,提供サービスや利用負担金などの標準化につきましては,指導員へのアンケート調査や岡山市児童クラブ連合会の中に研究部会を設けて検討しているところです。現在の問題点としまして,新制度移行後に児童クラブとして確保したい時間数と指導員の希望する多様な働き方とのギャップ,また各クラブ間での運営委員と指導員と保護者会の役割分担の違い等があり課題となっておりますが,今後も引き続き検討してまいります。

 以上でございます。

   
◎田中利直政策局長
   

2つ目の地方中枢拠点都市制度についての御質問に順次お答えさせていただきます。

 まず,制度の具体像をわかる範囲で説明をとの御質問ですが,地方中枢拠点都市制度は,地方中枢拠点都市圏構想推進要綱として本年8月25日に制定されたものであり,地方の人口減少や活力低下が進む中で,持続可能な地域社会の構築に向けてこれまで以上に柔軟に連携し,地域の実情に応じた行政サービスの提供を目指すものです。

 具体的には,3大都市圏を除く人口20万人以上の拠点都市が,近隣の市町村との連携に基づいて圏域全体の将来像や連携する分野などを明らかにする地方中枢拠点都市宣言を行い,連携が可能となった項目からおのおのの議会の議決を経て個別に連携協約を締結,加えて圏域の将来像を示す都市圏ビジョンを策定することとなっており,圏域全体の経済成長の推進,高次の都市機能の集積,圏域全体の生活関連サービスの向上の3つの分野を推進することで,将来の経済活性化や雇用創出,医療体制充実などの広域的な行政課題に効果的,効率的に対応し,圏域全体の発展を目指すものです。

 なお,連携の役割に応じて普通交付税などの財政措置が講ぜられることと聞いております。

 続きまして,地方中枢拠点都市圏構想首長懇談会の設置にかかわる背景,経過につきましては,自民党・無所属の会,川本議員に市長がお答えしたとおりでございます。

 続きまして,津山市までの広域圏になるとどのような連携を期待しているのか,本来の趣旨との食い違いを懸念するがとの御質問にお答えします。

 地方中枢拠点都市圏構想推進要綱では,連携の対象となる自治体は,各市町村の通勤・通学者のうち,拠点都市に対する通勤,通学の割合が10%以上であること,または拠点都市の近隣であって,連携する意思を有する市町村が連携の対象となっております。

 このたび連携を検討する8市5町は,市域が近接した同じ生活圏にある地域,幹線道路や鉄道網などの交通ネットワークで結ばれた地域,河川で上流,下流の位置関係にある地域など,経済的に,また環境面などで密接な関係にあることから,公共交通・施設の相互利用,産業などの施策において連携が期待されると考えております。

 続きまして,地方中枢拠点都市制度を活用した連携像についてという御質問ですが,これにつきましては自民党・無所属の会の川本議員に市長がお答えしたとおりでございます。

 次に,首長懇談会は,同制度の検討にとどまらず,さまざまな政策,施策の検討の場になると思うが,どのように考えるかとの御質問にお答えします。

 先日の8市5町の首長懇談会は,地方中枢拠点都市圏を形成することを視野に入れ,今後の広域連携のあり方を検討していくためのキックオフとして開催したものです。したがいまして,今後どのような形で首長懇談会を持つかは,各市町の御意向をお聞きする中で検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

   
◎那須正己保健福祉局長
   

3番目の今後の岡山市における介護,健康づくり等の取り組みについて,市長答弁以外の項目について順次お答え申し上げます。

 まず,特養整備の方向性についてのお尋ねでございます。

 特別養護老人ホームなどの施設整備につきましては,第6期介護保険事業計画策定の中で,在宅で介護依存度の高い特別養護老人ホームの待機者の解消を目指しつつ,病院からの在宅復帰を目指すための老人保健施設を拡充するとともに,低所得者対策としてプライバシーの保護に配慮した多床室の特別養護老人ホームを増床する方向で検討しているところでございます。

 あわせて,本市の特別養護老人ホームの整備率は,政令市の中でもかなり上位にあり,施設整備のあり方を議論する中で,介護保険の給付と負担のバランスも考慮しながら検討する必要もあると考えております。

 なお,先ほど冒頭での議員御紹介の新聞報道でございますが,岡山市が最も特別養護老人ホームの待機者が多いという報道がされております。後で確認の意味で幾らか上のほうにいた自治体に確認させていただいたんですが,いろいろとそれぞれ自己申告で集計された数値のようでございまして,例えば待機者を在宅の人だけに限るとか,そういった同じ条件ということになれば,順位は若干下がるかもわからないと。ただ,多いのは多い状況でございます。

 次に,在宅介護の高齢者の割合の目標についてでございます。

 在宅介護の高齢者の割合につきましては,数値的な目標は設定しておりませんが,在宅介護を希望されるできるだけ多くの高齢者の方が住みなれた地域での生活が継続できるよう,生活支援や介護サービスの充実に努めてまいりたいと考えております。

 次に,健康寿命の関係でございます。

 原因究明の状況,それから総合特区の取り組み以外にインセンティブを高めるための新たな独自の取り組みはどうか,それから若い人への健康相談や健康情報発信,特定健診や特定保健指導の受診率アップのためにも民間活用も効果的と考えるがどうかとの3点のお尋ねについてお答え申し上げます。

 本市の健康寿命が短い原因につきましては,現在保健医療,福祉,それから産業,教育,文化,都市基盤整備などさまざまな政令市データに基づきまして健康寿命との相関関係などについて分析を行ってきておりますが,複合的な要因もあるのではないかと考えられまして,現段階では十分に説明できる状況には至っておりません。

 次に,運動や健診などに関してインセンティブを付与するための取り組みについてですが,まずは特区の取り組みをきっちりと進めていきたいと考えております。そして,それ以外に必要なものが出てくればさらに検討していきたいと考えております。

 また,民間企業などとの連携につきましても,先進事例を調査研究し,岡山市でどのようなことがやっていけるのか検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

   
◆二嶋宣人議員
   

御答弁ありがとうございました。

 それでは,随時一問一答で再質問に入らせていただきます。

 まず,子ども・子育て支援新制度についてであります。

 荒木局長,ありがとうございました。新制度理解のためにということで市民だより等々でいろいろと情報発信をしているとはいうものの,私は地元が中山でありますけれども,認定こども園に試行園で進みますよと,もろもろの制度の内容はわかると。しかし,その後市内89小学校があって,2校から6校を組み合わせた30区域に分けて認定こども園1個以上設置するとか,現場の方々,先ほども質問させていただきました利用料金等々,生活に密着した問題を課題として挙げているということでありますので,制度自体が云々くんぬんももちろん必要ですけども,もう少し市民の目線に立った情報発信をもう少し積極的に親身になって,丁寧にしていただけたらなと思いますので,今後ともそのあたりの情報発信をよろしくお願いいたします。

 先ほど出ました利用料金についてであります。来年の2月議会の議決後,正式決定するということでありますけれども,利用者の方,保護者の方が一番気になるのは,やっぱり保育料等々の話であります。これまで幼稚園は一律の料金であった,6,300円だったと思うんですが,今回の制度によって世帯の所得に応じて利用料金が異なる応能負担となるわけでありますけれども,在園児に対しては今回の制度実施後も負担がふえないように配慮するといった答弁だったと思います。もちろんこれ以上ふえる,ふえてもいけないわけでありますので,そこのあたりはもっとしっかりと検討していただいて,6,300円が維持できるような形で進めていっていただきたいと思うわけであります。

 そして,同じようなことを言いますけれども,今後新たに利用する世帯が入った場合,今回はこれが適用されるわけですけども,これがまた利用料金の増減があるとはいうものの,ぐんと上がるようなことはないんじゃろうなということでよく質問を受けるわけであります。このたびの制度で,仮に現段階で岡山市の幼稚園利用見込み者の方を算出した場合,この利用料金が上がる世帯が比較的多くなるのか,それともぐっと今までの6,300円より減るのか,一律なのか,そこのあたりの試算をされているのであればお聞かせください。

   
◎荒木誠岡山っ子育成局長
   

利用料金については,今回新制度のもとで所得の把握方法が所得税から市民税に変わったということで,年収自体が変わらなければできる限り利用料金に変動が起きないよう考慮したいと考えております。ただ,利用料金については,児童の年齢,人数,世帯の状況で税額は変わりますので,現時点で値上げ,値下げとなる世帯数を試算することはちょっと困難で,把握できておりません。

 以上でございます。

   
◆二嶋宣人議員
   

わかりました。これに関しては,またしっかりと情報発信していってください。

 放課後児童クラブについてであります。

 効果が出るように余裕教室等による活用整備の具体策について質問させていただきました。もちろん,早急な対応をしていただきたいと思うと同時に空き教室を利用するといった方向性は随分前に示されたわけであります。今回どの程度の余裕教室を活用していくかといった予定が,答弁にあったかなかったかわからないんですけど,そういった予定があるのかどうか,まず聞かせてください。

   
◎荒木誠岡山っ子育成局長
   

先ほど答弁した中で,今年度につきましては4小学校の余裕教室を活用ということで予定しております。来年度以降については,今教育委員会,それから現場の学校と協議している段階です。

 以上です。

   
◆二嶋宣人議員
   

わかりました。

 いろいろと私も議員になって協議検討という言葉をもう何十回と聞いたなというふうな形で,やはり根気よく話をしていかなきゃいけないなと改めて思ったわけであります。この空き教室の活用整備について,教育委員会,そして岡山っ子育成局の中でいろいろと調整しながら頑張ってくださっているということは理解できますが,そういった意味でも放課後児童クラブによる普通教室や特別教室の徹底した活用をさらに加速させていくといった答弁が欲しかったなということが私の本音でありますけども,加速させていくということで理解してよろしいんでしょうか。

   
◎荒木誠岡山っ子育成局長
   

ただいま議員御指摘のように,例えば小学校で特別教室を一時的な活動の場所としてお借りするとか,そういう個別の具体的な工夫をしながら,方策を考えながら加速してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

   
◆二嶋宣人議員
   

わかりました。

 面積基準についても御答弁いただきました。今ずっと育成局の局長にお答えしていただいているわけでありますけども,教育長もしっかりと連携をとりながらやっていただきたいと思います。

 岡山市内にある基準を満たしていない放課後児童クラブは,全体の1割強ぐらいあると以前お聞きした私自身も認識しているわけであります。大規模クラブにとって,施設スペースの確保は喫緊の課題であって,本市はサービスを受けられない児童数ゼロを5年かけて平成31年度を目標としたという答弁があったと思います。5年かけてしっかりやっていっていただけるのであれば,それを早いというか遅いというか,むしろゼロになるのであればよしというふうな考え方もあるのかもしれませんけども,大規模クラブにとってはそういったことに関しては悠長なことを言っている場合じゃないのが現状だと思います。教室等の利用促進も含めて,やはりもう少し,1年でも2年でも前倒しでいいので,そういったことを検討していただきたいと思います。

 平成31年度を目標にゼロということで答弁がありましたけれども,その具体的な施設確保について何か示せるものがあればお聞かせください。

   
◎荒木誠岡山っ子育成局長
   

議員御指摘のように,大規模な児童クラブにおいては喫緊に,5年の事業計画で施設整備という悠長なことをやっている暇はないんで,できるだけ前倒しで実現できるよう努力して,小学校の余裕教室,今申し上げた特別教室を一時的にお借りするとか,それができなければ民間の賃貸用物件をお借りして,その家賃補助をしながらでも行うとか,そういったことで対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

   
◆二嶋宣人議員
   局長,平成31年度までにそういった形でゼロにしていく中で,ある程度のスケジュールを考えておかなきゃいけないと思うんですよね。そういった具体策はないんですか。こういった形で施設を整備,借りていきますよとかといったそういう具体的なものはないんですかね。
   
◎荒木誠岡山っ子育成局長
   

具体的にというと,やっぱり学校等との個別の話し合いになりますので,それを進めていくことでしか,なかなかうちとしてははっきり具体的な策はない状況です。

 以上でございます。

   
◆二嶋宣人議員
   

わかりました。今後ともぜひ子どもたちの目線に立ったそういった施策をどんどん進めていっていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

 時間の関係もありますので,地方中枢拠点都市制度について質問させていただきます。

 この制度については,先ほども何人かの方が質問されました。国による地方交付税の優遇があって,しかしながらきちんとした制度設計がまだ示されていない現状だということは確かだと思います。見えない中身の中で,今回岡山市を含めた13の市町,この広域にわたる市と町が個々に事業連携を図っていこうと思えば,やはり何かしらの壁にぶつかったり問題が出てくるということは市長も答弁の中でされていたと思います。

 今後,人口減少,少子・高齢化を迎えるに当たって,周辺の衰退は岡山市の活力の低下にもつながるということで,ここはしっかりと取り組んでいかなきゃいけない。各自治体の医療であったり介護であったり観光,産業であったり教育といったあらゆる面で充実を図るために行政区域を超えた連携の意義,必要性は増していく,まさに広域連携は必要なんだ,そういったことを私も今まで二重行政のことも含めて,広域連携も含めて,県と市の連携も含めて市長に質問させていただきました。そういった意味では,私もしっかりと応援していきたいわけであります。何よりも拠点都市と周辺自治体がウイン・ウインの関係,そして活性化の波及効果を感じることができるようにお互いの自治体が頑張っていかなきゃいけないということも言うまでもないと思います。

 確かに,今回目指すモデル指定,国の財政支援は魅力もありますし,幾つかの事業展開も確実にできていくと思います。しかし,メリットばっかりに目を向けるのではなく,やはりデメリットもある程度考えていかなきゃいけないなと私自身は思うわけであります。他の自治体にある箱物,いわゆる公共施設であったりソフト面の行政サービスの連携で箱物は別として,わざわざ岡山市民がよそのサービスを受けるかどうかとなると疑問がありますし,また高度な医療等々が岡山市にあるわけであります。他の自治体からそこに集中するようなことがあれば,市民サービスの低下にもつながる可能性も懸念しなきゃいけない。そういったデメリットの部分も市長はいろいろと考えて取り組んでいらっしゃるとは思うものの,そういった懸念が私自身にもあるわけでございますので,もろ手を挙げてこの制度自体をしっかりと進めていく中では,そういったことも議論していっていただきたいと思うわけであります。

 今回の懇談会で周辺の自治体から,岡山市頼みとまでは言わないにしてもそういった内容に聞こえるような声も聞こえてきましたけれども,市政にも課題が山積する中で,どのようにバランスをとってどのような展望を市長は描いていこうとしているのか。先行して選ばれている倉敷市があります。このモデル事業とのバランスも含めてどのように考えているのか,そこのあたりについて市長に少しお聞きできたらなと思います。

   
◎大森雅夫市長
   

去る11月17日に,初めて13の市町の首長が一堂に会したところであります。その際は,さまざまな議論がありましたけれども,共通した意見としては,やはり広域的に考えていかなければならないんではないかと。今後の少子・高齢化,人口減少を捉えたときに,やはり1つの市町の単位だけで物を考えてはならないんではないかという共通認識であったと思います。

 二嶋議員おっしゃるように,広域連携をやるということになると,先ほどもお話し申し上げましたが,1つは成長戦略を,もう一つは例えばさまざまな施設等々についての効率的な利用を行っていく,こういった議論が出てくるわけでありますが,そういう議論の中で,やはりデメリットというかマイナス点もそれはあり得るわけであります。そこのところは,もうお互いがこれから相談しながら最後成果物を出していかなければならない。それは,二嶋議員の言葉で言うとバランスなのかもわかりません。そういったことは,十分考えながら,それぞれ市民を背負っているわけでありますから,市民にとっての生活がどうなっていくのか,そういったことを十分考えながら広域連携のあり方,具体的な内容について考えていきたいと思っております。

 以上です。

   
◆二嶋宣人議員
   

ありがとうございます。

 年明け以降に実務者レベルで具体的に進めていくということもお聞きしておりますので,注視し,そしてまたいろいろと議論ができたらなと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

 続いて,今後の岡山市における介護,健康づくり等々についての質問に入らせていただきます。

 特養施設の整備であったり在宅介護の方向性について保健福祉局長にお尋ねいたしました。第6期介護保険事業計画の中で在宅介護とともに在宅医療との連携も図っていくといった答弁がありました。では,この在宅医療について今後どういった取り組みをしていこうと考えているのか,そこのあたりについてまずお聞かせください。

   
◎那須正己保健福祉局長
   

まず,今後の介護,健康づくりという中で,在宅医療については,今まで市のほうでは余り言ってきたことがなかったことだと思います。この数年,積極的には進めておるところですが,例えば高齢者の方,何らかの疾病なり症状をお持ちでお医者さんにかかっている方が多いけれども,今まではそのお医者さんとその介護職員とのそういった連携というのはなかなか難しいところがございました。そういった中で,先ほど市長答弁でもありましたけれども,顔の見える関係づくりということで在宅にかかわる医療従事者の方,あるいは福祉関係,介護関係の職員,そういった顔の見える関係づくりということをいろんな地域地域で前向きに取り組んでおります。

 それからあともう一つは,訪問診療,往診でございますが,こういったことにつきましてもなかなか昔みたいな往診があるような感じではございませんでしたので,そういったことも医師会のほうで往診の経験,豊富な経験をお持ちのお医者さんを中心にいろいろと相談,そういったことができる医師の養成をお願いしていると。

 それから,訪問看護についても,なかなか事業所がふえないというようなことがありましたので,看護職員について小さな体験をしていただこうということで看護協会にお願いしてそういった人材の養成などを中心に進めておりまして,今後もそこは6期の事業計画の中でもうたって進めていこうということでございます。

 以上でございます。

   
◆二嶋宣人議員
   

本当はもう少し聞きたいんですけれども,時間も限られておりますので。

 スマートウエルネスシティについて,引き続き保健福祉局長にお伺いさせていただきます。

 このSWCへの加入でありますけれども,9月の内閣改造であったり今回の選挙であったりして,なかなか認定がおくれているという状況であります。市長が常日ごろから記者会見で,健康寿命延伸に岡山市は全力で取り組んでいくんだといった思いはすごく受けとめているわけでありますし,この加入によってこの事業に拍車をかけていくといった状況も期待しているわけでありますけれども,しかし話を聞いていると,この総合特区ありきのような考え方も少し見受けられるわけですよね。この特区もそうですけれども,まず何か市から積極的にとり行っていく。例えば健康寿命が長い静岡や愛知の取り組みをまねてでも積極的にやっていくといった取り組みも必要と考えますけれども,そこのあたりについて御所見をお聞かせください。

   
◎那須正己保健福祉局長
   

特区事業ということも号令がかかり次第,直ちに進めていきたいと考えております。それがまずありまして,ただほかの健康寿命が長い浜松市とか静岡市での市独自の先駆的な取り組みについては,今のところ把握できておりません。ただ,県事業なんですが静岡県で,県全体で運動とか食生活とか社会参加ですか,そういった3つの分野に関する取り組みを3人一組で行うことに何らかの行政的な支援をするという「ふじ33プログラム」といった事業が展開されております。そういった取り組みも独自のものだと思いますので,今後そういった取り組みについては研究させていただきまして,岡山市のほうで取り入れられるようなものにつきましては取り入れることも考えてまいりたいと思っております。

 以上でございます。