令和5年 6月定例会 - 6月21日

◆二嶋宣人議員
   皆様こんにちは。自由民主党岡山市議団の二嶋宣人です。
 傍聴席の皆様,本日は大変お忙しい中,この岡山市議会の議場にお越しいただきましてありがとうございます。
 時間も限られておりますので,早速質問に入らせていただきます。
 1,人口減少,少子化対策の今後の推進について。
 2022年の人口動態統計(概数)では,合計特殊出生率は1.26,出生数は77万747人と80万人割れとなり,人口減少,少子化の局面を迎えた今,対策は待ったなしの状況です。
 このたび,政府は次元の異なる少子化対策と経済成長実現との両立を図り,若者・子育て世代の所得を伸ばすこども未来戦略方針を示しました。この中で,児童手当の拡充や働き方改革などを来年度から3年間集中的に実施する加速化プランを示しています。
 こういった国の動きを受け,自治体でも動きがあり,山梨県では人口減少に対する危機感を県民と共有することが欠かせないとし,人口減少危機突破宣言を発出し,出生率回復に向けた対策を早急に取りまとめていく方針を示しました。
 そこで質問します。
 (1)こども未来戦略方針に期待する点と異次元の少子化対策と連携させ,今後どのような取組を前進させていきたいと大森市長はイメージされていますか。
 (2)コロナ禍で妊娠控えが進んだことも出生数減少の一因と言われています。本市は,少子化対策としてこれまで妊産婦と家族を対象とした産前産後相談ステーション,出会いの場づくり,待機児童の解消といった施策に取り組んできました。今後の希望出生率,これらの取組の成果と課題,今後についてお示しください。
 (3)未婚の増加も少子化の一因です。例えば奨学金イコール借金と考える人は多く,結婚後の不安が募ります。現状と課題,今後の対策についてお示しください。
 (4)2040年には1,100万人以上の労働力不足が予測されており,医療・介護現場の人手不足は深刻な問題です。
 本市では,岡山市在宅医療推進方針を策定し,様々な施策事業を展開していますが,人手不足の解消にはまだ至っていないようです。この方針の成果と課題,今後の具体的な取組についてお示しください。
 (5)本市は二拠点居住やワーケーションの誘致を進めています。ただし,ただPRするだけではたくさんある自治体の中から選ばれることは難しいでしょう。移住・定住希望者のニーズに応えるためには本市の特性や強みを生かした戦略が必要です。SNSを含め,本市が独自に工夫している点とその成果,今後の具体的なロードマップをお示しください。
 (6)本市の空き家対策計画は,移住・定住施策にも資すると考えます。市内中心部及び周辺地域の空き家の現状と今後の見通し,コロナ禍前の2019年から現在までの空き家情報バンクの登録件数と契約数の推移についてお示しください。
 (7)空家等適正管理支援事業における改修後の建物や除去後の跡地の活用状況と課題についてお示しください。
 また,物価高騰の中で補助金の全体的な見直しの必要性を感じていますが,御所見をお示しください。
 (8)少子化の原因の一つは子育て世帯の経済的な負担(教育費や住宅ローン)があります。子育て世帯や若い夫婦の支援策として,空き家の活用の推進は住宅ローンの負担軽減と空き家問題の解消につながる可能性があると考えます。課題と今後の対策についてお示しください。
 2,企業誘致について。
 (1)現在,世界最大手の半導体受託生産会社であるTSMCの熊本工場が建設中です。2024年末に稼働予定で,日本政府は半導体の国内生産を支援するため,最大4,760億円を投資しています。これにより,半導体供給体制の強化,周辺地域の関連産業の再興による経済波及効果が期待されます。
 本市と友好交流都市である台湾・新竹市が本社のTSMCの進出による機会を逃さないためには本市の強みを生かしたアクションが必要であり,外国企業誘致を推進する考え方とあわせ検討すべきです。御所見をお示しください。
 (2)本市の企業立地推進事業には物流施設,工場,研究所,IT・デジタルコンテンツ産業への立地など,幅広い分野の支援事業が掲げられています。これまで実施してきた企業誘致における成果と経済効果についてお示しください。
 (3)都市間競争が激化する中で本市の優位性,経済成長を図るため,特化した事業への支援強化は有効と考えます。本市の特性や強みは何ですか。どういった分野の事業を発展させていきたいとお考えでしょうか。
 (4)補助金や人材育成,土地など企業誘致における魅力的な条件(メリット)の充実がさらに求められてくると考えます。今後どういった支援の強化が必要とお考えでしょうか。今後の対策についてお示しください。
 3,地域公共交通の確保,維持について。
 人口減少や新型コロナの影響で利用者数が落ち込み,各地で鉄道やバスなどの存続への懸念,高齢者の自家用車依存が増えている現状に不安を感じている地域の方々と公共交通の重要性について話し合いました。
 本市では,約20万人が交通機関にアクセスしにくい地域に住んでおり,特に高齢者が運転免許を返納すると公共交通の充実が生活に大きな影響を与えます。高齢化や過疎化が進む地域社会では,公共交通は移動手段の確保だけでなく,地域コミュニティーの活性化にも重要な役割を果たす包括的なサービスとして求められています。
 そこで質問します。
 (1)平成30年9月以降,私の地元では国道180号線を走っていた民間バスが運転手不足を理由に運休しています。運行再開を切望する声を多く伺いますが,今後の見通しをどのように把握されていますか。
 この運転手不足の解消のための公的な支援はできないものでしょうか。また,市内バス事業者の運転手はどの程度不足しているのでしょうか。現状と今後についてお示しください。
 (2)デマンド型乗合タクシーを導入している5地区が本格運行までに苦労された点,そして現状についてお示しください。
 (3)岡山市立地適正化計画の中で2040年には大半の地区で人口が減少すると予測されています。今後,各地区でデマンド型乗合タクシーの需要は高まると考えますが,タクシーの需給バランスの問題を懸念するところであり,対策が必要と考えます。今後の見通しと対策についてお示しください。
 (4)新たな生活交通の導入を検討する際,地域の合意が難航する場合もあると考えます。そういった場合,暫定的にタクシーチケットでの生活交通を担保することはできませんか。御所見をお示しください。
 (5)生活交通の取組内容を分かりやすくまとめた動画配信があればさらに地域で議論するきっかけになると考えますが,御所見をお示しください。
 4,市民の健康的な生活の質の向上について。
 岡山市の薬剤師は,市民の健康を支える専門家です。特に高齢者や慢性疾患患者に対しては,薬の管理や自己ケアのサポートを通じて安心できる生活を提供しています。また,医療現場との連携や安全管理にも力を入れ,最適なケアを提供しています。
 薬剤師は市民の健康づくりと薬物関連の問題に積極的に取り組んでおり,今後も市民の健康的な生活の質の向上を目指した活動に期待するところです。
 そこで質問します。
 (1)岡山市薬剤師会と岡山市が共催している薬物乱用防止キャンペーンにおける成果と今後についてお示しください。
 (2)学校薬剤師は,子どもたちの健康と快適な教育環境を守る役割を果たしています。現在,若い世代でオーバードーズなどの問題が増えており,学校薬剤師はこれにも関与しています。本市は,オーバードーズの現状をどのように把握されていますか。
 また,学校薬剤師は薬品の使用や保管だけでなく,健康相談や保健指導,学校環境衛生の管理など多岐にわたる役割を果たしています。今後,本市は学校薬剤師にどのような役割を期待していますか。
 (3)本市の委託事業である在宅医療・介護の多職種連携会議は好評だと伺っています。さらなる充実を期待するところですが,これまでの成果と今後についてお示しください。
 (4)国レベルでは,在宅医療において訪問看護ステーション等で一部の薬について医師の処方なしで看護師が薬のオーダーをし,薬剤師なしで看護師が薬を調剤することについて議論されています。現状についてどのように認識されていますか。
 また,医師の処方による薬剤師の適切な服薬指導を確保するため,在宅医療における薬剤師の営業時間外の対応を促すような取組を本市が率先し,国に提案していくべきと考えます。今後本市が期待する在宅医療における薬剤師の役割とあわせ,御所見をお示しください。
 以上で1回目の質問を終わります。(拍手)
   
○森田卓司副議長
   当局の答弁を求めます。
   
◎大森雅夫市長
   それでは,二嶋議員の質問にお答えいたします。
 私は,人口減少,少子化対策の今後の推進ということで,こども未来戦略方針に期待する点,今後の岡山市の取組はということであります。
 閣議決定されたこども未来戦略方針を見てみますと,若年人口が減少する,急激に減少する2030年までがラストチャンスと,基本的な姿勢を明らかにした上で3つの理念を整理しております。若い世代の所得を増やす。社会全体の構造,意識を変える。また,全ての子ども・子育て世帯を切れ目なく支援する。私の大きな方向としてはこの閣議決定されたとおりだろうと思います。
 また,国のほうでは具体的に児童手当の拡充などを議論されていると聞いております。
 岡山市も私が市長になって10年になるわけですが,こういう方針については一貫してやってきたと思っております。児童手当の拡充,国が議論されているものに関していきますと,今回の子どもの医療費助成,これもこの10年間で2度目の改定であります。こういう政令指定都市,特に財源が厳しい中で小学生無料化,中高生も基本的には1割負担という形にさせていただいたところであります。特に財源面といいますか,そういったところのアプローチが一つと,子育て支援ということで待機児童対策にも取り組み,今は放課後児童クラブ等々にも取り組んでいるところであります。一定の成果が出たと思っております。
 そして,公明党を代表されての則武議員の質問にもありましたけれども,今みたいな直接の子ども対策というだけではなくて,魅力のある職場づくり,そしてまちづくりという視点からも整理をし,一定の成果は得ながらも,これからもやっていかなければならないという話をさせていただいたところであります。
 その方向はこれからも堅持していきたいと思いますが,閣議決定のこの方針の中の基本理念の2番目,社会全体の構造,意識を変えるという,価値観の変化というものをどうこれから変えていくのかというのは,これは一つの自治体単位でも議論することは重要だと思いますが,広い日本全体,もっと言えば先進諸国全体なのかもしれませんが,そういったところでの議論というのが必要となってきているんではないかと思っております。我々のほうもそこは着実に議論を積み重ね,できることをやっていく,こういう方針で臨んでいきたいと思っております。
 以上です。
   
◎田中哲也市民協働局長
   1,人口減少,少子化対策の今後の推進についての項,移住・定住希望者のニーズに応えるための工夫とその成果,今後のロードマップについてお答えいたします。
 本市では,岡山市の暮らしやすさをアピールする独自のプロモーション動画をテーマ別に10本作成し,東京・大阪圏のユーチューブ広告などで配信しており,令和4年度には約51万回再生されました。
 今後の取組としましては,新型コロナウイルス禍以降,若い世代の地方移住が活発になっていることから,若い女性を引きつけるインスタグラムの運用を9月に開始する予定です。今後も移住希望者の動向を見ながら,効果的な情報発信を行っていきたいと考えております。
 以上です。
   
◎宮地千登世保健福祉局感染症対策担当局長
   同じ項,産前産後相談ステーションでの取組の成果と課題,今後についてです。
 産後は母親の心身が最も不安定な時期であることから,本市では令和元年10月から産後ケア事業を開始し,産前産後相談ステーションで御案内しているところです。
 年々利用者は増加しておりましたが,利用者や医療機関から県内他自治体と比べ自己負担額が若干高いといった声がありました。そういった声を踏まえ,本年度市民税課税世帯や多胎児の場合の自己負担額の軽減を図るとともに,新たに訪問型の事業を開始したところです。
 その結果,従来の宿泊型と日帰り型を合わせた利用件数が4月は前年と同数の17件であったものが,速報値ではありますが,5月には41件と前年同月の約3倍となったことから産婦の支援につながったものと考えており,今後も必要な方に情報が届くよう相談ステーションなどで周知に努めてまいりたいと考えております。
 次に,在宅医療推進方針の成果と課題,今後の具体的な取組についてです。
 本市では,第2次在宅医療推進方針に基づき,人材育成など在宅を支える基盤整備,多職種の連携強化,出前講座等による市民への在宅医療の普及啓発等に取り組んでまいりました。
 その結果,在宅診療所や訪問看護事業所の増加,多職種間の情報連携を円滑にするための共通ICTツールの導入,各職能団体や市との連携強化など,一定の成果がありました。
 一方で,医師の高齢化や在宅介護資源の偏在といった課題も生じ始めております。
 今年度から,コロナ禍で中止していた在宅医療の提供体制ワーキングを再開することとしており,今後の人口構造の変化にも対応していけるよう,病診連携,診診連携,ネットワーク強化といったテーマについて具体の施策を検討し,第3次在宅医療推進方針の策定に生かしていく予定です。
 以上です。
   
◎遠藤千里岡山っ子育成局長
   同じ項,出会いの場づくり,待機児童解消の取組の成果と課題,そして市として望む出生率,また未婚の増加の現状と奨学金を含む課題,今後の対策について一括して御答弁を申し上げます。
 まず,子育て支援策としては保育の待機児童解消に取り組み,ほぼ解消ができております。一方で,放課後児童クラブの待機児童が発生しており,現在学校施設の活用などによる早期の受入れに努めているところでございます。
 また,未婚化の対策としては20代から30代の独身社会人を対象とした出会いのひろば事業を平成19年度から実施しておりまして,これまでに80回開催し,4,217人の参加がありました。コロナ禍で定員を絞るなどしておりましたが,今後は多くの方に参加いただけるように,さらに内容や回数の充実を図ってまいります。
 次に,岡山市の奨学金については,令和2年の高校授業料の実質無償化や奨学金の返済が若者の重い負担となっていることを勘案し,令和2年6月に貸与型奨学金を廃止し,給付型奨学金を創設いたしました。国から示されたこども未来戦略方針では,高等教育の奨学金制度の充実と授業料後払い制度の創設が盛り込まれているところであり,今後の動向を注視してまいります。
 なお,本市では出生率を目標値として設定しておりませんが,国は少子化社会対策大綱で若い世代の希望出生率1.8の実現を目標としているところであり,市としましても若い世代が希望する数の子どもを持てるよう,様々な事業を検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
   
◎平澤重之都市整備局長
   同じ項,まず市内中心部,周辺部の空き家の現状と今後の見通し,空き家情報バンクの登録件数と契約数の推移についてです。
 空き家は,市域全体に満遍なく存在しており,その適正な管理の促進は地域を問わず進めていく必要があります。これまで特定空家等,老朽危険度の高い空き家については除却などの対策に重点的に取り組み,一定の成果が上がっていると考えております。
 一方,老朽危険度の低い空き家については増加しており,空き家の利活用促進の強化が今後必要と考えております。
 空き家情報バンクの件数は,令和元年度は登録4件,成約4件,令和2年度は登録2件,成約1件,令和3年度は登録6件,成約3件,令和4年度は登録22件,成約13件となっております。
 次に,空家等適正管理支援事業における改修後の建物や除却後の跡地の活用状況,補助金の全体的な見直しについてです。
 空家等適正管理支援事業のうち空き家リフォーム補助についてはリフォーム後に住宅として利活用することを補助の条件としており,除却補助については空き家の跡地を適切に管理することを補助を受けた方の責務と定めているため,いずれの場合も適切に管理されていると考えております。
 空家等適正管理支援事業は,補助金を交付することで所有者の自主的な取組を支援するものです。なるべく多くの空き家所有者に空き家を解消していただくため,動機づけとなる補助金を広く交付する必要があり,申請の多かった空き家リフォーム補助の予算を今年度から増やしたところです。
 次に,子育て世帯や若い夫婦の支援策としての空き家活用の推進の課題と今後の対策についてです。
 空き家の利活用を促進するため,空家等適正管理支援事業を実施してきましたが,こども未来戦略方針に子育て世帯の住宅支援の強化が位置づけられたことから,空き家リフォーム補助を利用した方に空き家情報バンクへの登録を促すなど,リフォーム後の住宅の売買・賃貸情報を子育て世帯に届ける方法を検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
   
◎小山直人産業観光局産業政策担当局長
   大きい2番,企業誘致について,(1)TSMC進出による機会を逃さないための強みを生かしたアクション,外国企業誘致を推進する考え方への所見をについてお答えいたします。
 誘致活動において,友好交流都市であるという点はアプローチを行う際に一つのきっかけになると考えています。一方,企業が立地を検討する際,投資に対する利益見込みを前提にサプライチェーンの強化や災害リスク,雇用の確保,インフラの整備状況など様々な要素を勘案し,経営判断がなされるものと認識しています。
 TSMCをはじめ半導体関連企業は半導体生産に必要な水資源を豊富に有し,既に関連企業が集積している地域を候補地として選定しているものとお聞きしているところです。
 本市では,これまでも国内企業に限らず海外企業を含め工場等の設備投資に対する補助制度を設けており,首都圏企業へのアンケート調査や訪問など,積極的に誘致活動を行ってまいりました。今後も企業の声を伺いながら様々な機会を捉え,誘致活動を含め企業立地を推進してまいります。
 同じ項,(2)これまでの企業誘致の成果と経済効果を示せについてです。
 平成30年度から令和4年度までの5年間の企業誘致実績は,本社,中四国支店,工場の再投資や物流施設のほか,IT・デジタルコンテンツ産業を誘致対象に追加し,企業誘致件数が60件,投資額が693.4億円,新規常用雇用者数が1,560人となっています。
 同じ項,(3)本市の特性,強み,どういった分野の事業を発展させたいのかについてお答えします。
 中四国のゲートウェイとして優れた広域拠点性を有する本市は自然環境が豊かで災害リスクが低いこと,また大学や専門学校等が多く人材が豊富であることなど,多くの強みを有していると考えています。こうした強みを生かし,製造業の誘致や物流施設,本社,中四国支店,IT・デジタルコンテンツ産業等に対するインセンティブを設け,本市への立地につなげているところです。
 市内にはIT系専門学校が多く存在するものの,IT・デジタルコンテンツ産業は事業所が首都圏に集中していることから,就職で市外転出が生じている状況であり,令和2年度よりIT・デジタルコンテンツ産業を誘致対象に加え,人材が豊富である強みを生かし,誘致活動に取り組んでいるところです。
 この項最後になります。今後どういった支援の強化が必要かについてお答えいたします。
 市内中心部では,令和3年以降新たなオフィスビルの開設が続いています。新たなオフィス空間の増加を本社,中四国支店やIT・デジタルコンテンツ産業等の誘致の好機と捉え,本年度から新たに賃料補助を追加し,支援を強化しているところです。
 また,企業が求める用地の確保が難しい中,昨年度には本市で初めてとなる地域未来投資促進法に基づく農地転用許可等の手続に関する配慮の支援措置を活用し,製造業や物流施設の設備投資につなげたところです。引き続き,企業ニーズを的確に捉え,補助制度の見直しや拡充などを行うとともに,地域未来投資促進法の活用を検討する事業者を支援することでさらなる企業立地を推進してまいりたいと思います。
 以上でございます。
   
◎平澤重之都市整備局長
   3の地域公共交通の確保,維持についての項,まず国道180号のバス路線の見通し,運転手不足解消に向けた支援,運転手不足の現状と今後についてです。
 運転手不足により運休している国道180号のバス路線について,運行事業者からは現在運行している路線に対しても十分な運転手が確保できている状況ではなく,運行再開のめどは立っていないと伺っております。
 市内バス事業者の運転手は,調査によると岡山県全産業と比較して賃金が30%程度低く,勤務時間が長いといった労働環境となっており,運転手数は減少傾向が続いております。
 また,働き方改革関連法の施行により,運転手数を維持した場合でも運転時間の縮減による減便等が懸念されております。
 岡山市では,中断していた路線再編等に関する交通事業者との協議を再開したところであり,市民の暮らしを支える路線バスの維持,拡充について,運転手不足への対応も念頭に具体の取組について議論してまいりたいと考えております。
 次に,デマンド型乗合タクシーを導入している5地区において,本格運行までに苦労した点と現状についてです。
 デマンド型乗合タクシーの導入に当たっては,住民へのニーズ調査に基づき市と地元検討組織で十分に議論しながら運行計画を策定しますが,試験運行開始直後は利用が想定より少ない場合があります。このため,周知の徹底や運行改善が十分行えるよう,岡山市ではおおむね1年間の試験運行期間について赤字の全額を支援することとしております。
 現在,運行中の地区では本格運行後も利用状況や地域のニーズを踏まえて必要に応じて運行改善に取り組んでおり,利用者数は堅調に増加しております。
 次に,今後デマンド型乗合タクシーの需要が高まる中でタクシー需給バランスの問題が懸念されるがについてです。
 タクシー車両や運転手については全体として減少傾向が続いていると聞いており,今後のデマンド型乗合タクシーの導入に当たっては,周辺のタクシー事業者の状況をしっかりと把握した上で検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に,暫定的にタクシーチケットで生活交通を担保できないかについてです。
 デマンド型乗合タクシーについては地元検討組織を立ち上げ,地域の方々に主体的に取り組んでいただいていることから,タクシーチケットを単純に配付することに比べ生活交通を持続可能なものとするだけでなく,地域の活性化やコミュニティーの維持にもつながる優れた取組であると考えております。
 議員御提案の暫定的なタクシーチケットの配付については,生活交通確保に向けた地域の方々の主体的な取組の妨げになることが懸念されるため,考えておりません。
 学区内の一部のみが交通不便地域となっている場合など,導入に向けた機運がなかなか高まらないといった地域に対しては,一部の地域での運行も可能であることなど,生活交通の制度について丁寧に説明してまいりたいと考えております。
 次に,生活交通の取組に関する動画配信についてです。
 生活交通確保の必要性や取組については分かりやすい情報発信に努める必要があると考えており,議員御提案の動画配信も含め効果的な周知方法について検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
   
◎後河正浩保健福祉局長
   4番,市民の健康的な生活の質の向上についての項,薬物乱用防止キャンペーンにおける成果と今後について御答弁申し上げます。
 平成25年度から岡山市薬剤師会と共催で薬物乱用防止キャンペーンを毎年実施し,これまでに多くの市民の方に薬物乱用の危険性について周知啓発を行ってまいりました。今年度も本キャンペーンを実施予定であり,引き続き岡山市薬剤師会と連携を深め,より効果的な啓発活動の実施に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
   
◎宮地千登世保健福祉局感染症対策担当局長
   同じ項,学校薬剤師についてのうち,オーバードーズの現状をどのように把握しているかについてお答えします。
 オーバードーズにつきましては,市単独での実数等の把握はできておりませんが,国立精神・神経医療研究センターが令和3年度中に実施した薬物使用と生活に関する全国高校生調査によれば,市販薬の過去1年乱用経験率は高校生全体で1.6%となっており,男性よりも女性の経験率が高く,また学年が上がるにつれて増加していたという結果が出ております。
 岡山市こころの健康センターに設けている薬物依存症相談窓口では,オーバードーズに限らず薬物依存等に関する相談を受けております。近年の相談件数といたしましては,令和2年度8件,令和3年度11件,令和4年度13件と横ばいの状況です。
 続いて,在宅医療・介護の多職種連携会議のこれまでの成果と今後についてです。
 本市では,在宅医療・介護を支える多職種の連携を強化するため,平成24年度から福祉区ごとで顔の見える関係づくりとして合同研修や意見交換会を進めてまいりました。数年間の取組を経て地域で自立した活動が始まりましたが,コロナ禍で活動停止となり,行政支援を望む声が増えたこともあり,令和4年度より岡山市薬剤師会に委託し,地域別多職種連携会議を再開いたしました。医師会等の参加もあり,令和4年度は市内3会場に約300人の多職種の方が参加し,好評を得ました。今年度は市内6福祉区で開催予定となっております。
 今後は,可能な限り自立した活動ができることを目指していきますが,適宜状況を見ながら必要な支援は行っていきたいと考えております。
 続いて,在宅医療において看護師が薬を調剤することについて市の認識は,薬剤師が営業時間外も対応できるよう国への提案及び市が期待する役割はについてお答えします。
 患者宅で緊急な薬剤処方が必要になった際,その場で訪問看護師が薬剤を用意できれば医療資源が乏しい地域などでは患者の利益につながる場合もあると考えます。国は検討段階ということもあり,今後の動向に注視してまいります。
 岡山市としましては,基本的には薬剤師に調剤,服薬指導していただくことが質の高い在宅医療の提供につながると考えており,今後も岡山市認定在宅介護対応薬局事業により多くの薬局に参加していただくなど,在宅医療にとって必要不可欠な専門職として市の在宅医療・介護の推進に協力いただきたいと考えております。
 以上です。
   
◎三宅泰司教育長
   同じ項,学校薬剤師に期待する役割についてです。
 学校では,薬物乱用防止に向けて児童・生徒に正しい知識や対処方法を身につける指導を行っています。薬物乱用に係る課題は多様化,若年化しており,学校薬剤師による専門的な立場からの知見やデータを基にした指導が効果的であり,授業を連携して行うことが子どもたちの健康な心と体の育成につながるものと考えております。
 以上です。
   
◆二嶋宣人議員
   御答弁ありがとうございました。
 それでは,一問一答での再質問でありますので,よろしくお願いいたします。
 まず,宮地局長ありがとうございました。
 この在宅医療における円滑な薬の提供についてでありますけれども,医師の処方による適切な薬の調剤はこういった薬剤師の専門領域のエリアでもあると思います。しかしながら,岡山市における在宅医療の実施状況をしっかりと調査して,必要な対応をしっかりとしていっていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 そして,少子化対策でありますが,市長からも御答弁いただきましてありがとうございました。
 市長の御答弁の中で私も価値観の変化に順次対応していくということは必要だと思います。これまでも目標の達成に向けてはなかなか少子化対策って右から左へすぐ結果が出てくるわけではないものでありますので,これまでと同様しっかりと地道な活動で成果,効果を残していっていただけたらと思いますので,よろしくお願いいたします。
 ここからは質問であります。
 出会いの場づくりについて,局長ありがとうございました。
 答弁の中で,80回やって4,200人ちょっとの参加者がいたと。その後の後追いといいますか,成果ですよね。どのくらい成婚されたとか,子どもが生まれたとか,そこのあたりは調査しているんでしょうか。
   
◎遠藤千里岡山っ子育成局長
   出会いのひろばの後は結婚したとか,そういったアンケート,後追いはしてございません。ただ,こういうきっかけで結婚したんだという御報告が自主的に行われる場合がございまして,これは今までの間で14件でございます。
   
◆二嶋宣人議員
   分かりました。ありがとうございました。
 この二拠点居住等々の移住・定住について,局長から御答弁をいただきましてありがとうございます。
 プロモーション動画が51万回再生されて,インスタグラムでこれからどんどんどんどん移住,定住を図っていきましょうねといった御答弁だったと思います。これだけSNS等々が普及してきてもうどの自治体もこぞってやっているわけでありますので,この岡山市の魅力をどう発信していくか,なかなか大変なことだと思います。だからこそ,SNSの次は何をやっていくのか。例えばこれまでも桜井日奈子さん等々の著名人を使った施策もいろいろとあったと思うんですけども,私自身こういったテレビ番組等々,こういった動画の配信も重要だと思います。そういった意味でのメディア戦略についてどのようにお考えなのか,お聞かせいただけませんか。
   
◎田中哲也市民協働局長
   いろいろな形でどんなものが興味を引くかということでこれまでも取り組んでおりまして,今年度については女性をターゲットにということで進めております。
 いただいたようなメディア戦略については,今具体的に考えているものがないのが実態ですが,今後御提案いただいたことも含めてしっかり検討してまいりたいと思います。
   
◆二嶋宣人議員
   決して否定しているわけでありませんので,しっかりとこれまでどおりやりつつ,他都市と違った魅力を出していくためにはどういったことが必要なのか,やれるものは全てやっていく,そういった気概でやっていただけたらなと思いますので,よろしくお願いいたします。
 空き家活用についてもお尋ねさせていただきました。局長ありがとうございました。
 冒頭で触れましたけれども,空き家対策,これは移住・定住施策にも資すると私自身は考えています。
 先日テレビのニュース番組の中で空き家における様々な活用策が紹介されていました。ここで少し紹介させていただきますけれども,格安な家賃で学生を受け入れる中古戸建てのシェアハウスであったり,異世代のホームシェア,そして持ち主の負担を軽減するための活用策として持ち主が認めた範囲内で借主が改修するDIY型の賃貸借ハウスであったり,家具などの片づけが不要なそのままシェアハウス等賃貸ハウス,そういったことが紹介されていました。
 今後,特定空家は別として空き家の利用促進について,これは必要性を感じていらっしゃるというふうな答弁があったと思いますが,多角的なアプローチが必要だと思います。そういった中で,今後岡山市として具体的にどのような方をターゲットとしてどのような取組に力を入れていくことが有効だと現時点でイメージされているのか,そこのあたりについて少しお聞かせいただけたらと思います。
   
◎平澤重之都市整備局長
   空き家に関してのお尋ねです。
 老朽危険度の低い空き家については増加が続いているので,それに対してしっかり対策を取らないといけないとは考えております。
 どういった対策を取れば空き家の発生に直接大きく影響するかというところは様々な事情があって,これが正解だというものはなかなか見つかっているわけではないんですけれども,今岡山市として空き家を生まないプロジェクトというのをやっていて,昭和40年代・50年代に造られた団地においては多くの方々が,年齢がほとんど同じような年齢層の方が団地に入ってこられて高齢化が進んでいって,子どもたちは団地からも出ているような状況で,夫婦お二人とか,場合によってはお一人でお住まいになる方がいらっしゃる,そういった方に対して子どもたちと今後のその家についてどうしていくかみたいな,今までそういった家族で話合いをする機会というのはないみたいなことを感じていたもんですから,アンケートを取ったり,説明会をしたりして,今お住まいのおうちの今後についてどう考えていくかというところのきっかけづくりをしたいなあと思っています。それからもう一つは空き家をリフォームとか,それからリフォームするに当たっても,処分するとかに当たっても,家財があるということが結構支障になっているというところがあります。その家財について,空き家を利活用して住むということを前提であれば,補助金を処分に対して出すということは今年度からやっています。もう一つはリフォームされた空き家に御自身で住むのならいいんですけど,様々な利活用を進めていくというためにはどこにどんな空き家があるかということを皆さんにお知らせできないとテーブルにのらないことになると思いますので,そこについては空き家の情報バンクに,まだまだ件数が少ないので,そこへどんどん載せていっていただいて,リフォームされたおうちに住むことも選択肢の一つとして考えていただけるように情報提供をどんどんどんどんしていくことを考えていかなければいけないなあと思っているところです。
 以上です。
   
◆二嶋宣人議員
   ありがとうございました。
 利活用することの魅力というのをいろんな形で発信していっていただけたらこういった空き家の利活用という観点からいうと有効になると思いますので,ぜひ期待しております。よろしくお願いいたします。
 そして,企業誘致についての外国企業の誘致,局長ありがとうございました。
 人口減少であったり,少子・高齢化の課題であったり,ましてや日本自身の名目GDPの順位が徐々に低下しているなどを含めると,こういった外国資本をしっかり取り組んでいくということも重要になってくると思います。しかし,その反面国内競争の激化であったり,技術の流出の危険性など外国企業を誘致することに対しての懸念の声もあることも確かだと思います。御答弁いただきましたが,岡山市はではこれまではどの程度友好交流都市をはじめとする各国,そういった外国企業の誘致に取り組んできたのか,そこのあたりについてもう少し踏み込んでお聞かせいただけませんか。
   
◎小山直人産業観光局産業政策担当局長
   外国企業の誘致に向けてどんなことをしてきたのかという御質問だと思いますんで,私自身担当者として企業誘致を担当して,その後担当課長として企業誘致を担当して,今なぜか担当局長として3回目やらさせていただいています。
 担当者のときに外資系の誘致ということで勉強させていただきました。その頃よく言われたのが,ジェトロさんであるとか,それからOIBAという岡山県国際経済交流協会というのがございまして,そういったところとその情報のやり取りをしたりでありますとか,あと外資系企業に対するアンケートであるとかということをその頃からやっておりましたし,今もそれは継続してやっていると担当から聞いてございます。今回そのアンケートというか,岡山市内の企業様ですけれども,1社再投資にこぎ着けた,補助までこぎ着けたと結果は聞いてございます。
 今後の展開ですけれども,こういったことというのは先方の意向というか,確認であるとか,それから外資系企業で岡山市へ進出を考えているという,そういった情報をキャッチして,それに対してアクションしていく,国内,国外に限らず同じやり方をやっていくしかないのかなと思っています。
 友好交流都市とのというのは,すいません,今まであんまりそういった観点で見たことがなかったもので,友好交流都市との交流事業の中で例えば何かそういった情報が得られるんであればまた考えていきたいと思っています。
 以上でございます。
   
◆二嶋宣人議員
   ありがとうございました。
 私も3回多分その所管の委員会で行ったので,局長と3回お会いしていて,そういう話をできたと思います。引き続きそういった視点を持ってこの岡山市の魅力をさらに発揮していって,岡山市に強い経済をつくっていく,その取組を期待しております。引き続きこの外国企業誘致については注視していきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 そして,地域公共交通の確保,維持についてもお尋ねさせていただきました。局長ありがとうございました。
 国道180号線の民間バスの運休に対する公的支援についてもお尋ねしました。なかなか厳しい状況であるし,どういった手だてがいいのかといったところも地域で頑張っているところでありますけれども,しかし地元の方々と話をしていると,今進めている──当然周辺地域の公共交通不便地域だと思いますけども──デマンド型乗合タクシーを導入しなければならないという状況までには至っていないけれども,この運休している路線の代替として地域に応えるための公共交通の手段の提供が求められているんだと感じています。
 そういった中で,この路線間のバス停等々を活用してしっかりと決まった時間とか,路線のワゴン車等との乗合タクシーの導入など,この第3のデマンドタクシーの必要性をこういった地域の方々と話をして感じたわけであります。この第3のデマンドタクシーについて御所見をお聞かせください。
   
◎平澤重之都市整備局長
   今岡山市で進めている生活交通のデマンド型乗合タクシーについては,一番最初は迫川でさせていただいているんですけども,集まってくださっている皆さん,最初その多くはまだ車を運転されていました。そういった意味では,地域の方々が危機感を持って本当に必要だという状況ではなかった。だけども,将来そうなることが予想されるので,地域としては考えていかなくちゃいけない。これは瀬戸へ行ったときも同じでした。
 デマンド型乗合タクシーというのはそこで大きな意味があると私は思ってます。利用者が少なくても定時定路線で走っていると赤字がどんどんどんどん膨らんでいって事業としては成り立たなくなるんですけども,デマンドは予約が入ると動くので,利用が少なくても一応事業としては成り立ちます。本当にデマンド型乗合タクシーが必要な人たちがいっぱいになっていない状況においても今から準備して皆さんで考えていただく,そのために岡山市がいろんな情報を提供しながら,そのやり取りを一緒になって,地域のコミュニティーの維持に向けても一緒になってやっていくということに意味があると思っています。その段階においても声をかけていただいて,例えば皆さんに集まってもらうのが大変であれば地元の役員会とか,そういった集まる機会に少しお時間をいただくことでお話しさせてもらうとか,そういった機会を設けていただければ我々のほうも積極的にお邪魔してお話しさせていただきたいと思います。ぜひまだまだもう少し先かなという段階から皆さんで考えていただけると我々はありがたいなと思います。
 以上です。